自然へ帰る旅 ー(1)野生の世界ー(菅原宏)
車を降りて、荷物を持ち、滞在する丸太小屋まで歩くと、
堆積した枯葉や刈られた草木で、土はフカフカと柔らかい。
笑美は早速、靴を脱いで歩き始めるが、
秋に落ちた栗を踏み「イテテ。。。」と驚いていた。
都会では、空も海も地面も地中も、
人間が主役として街を形成しているが、森の中は違う。
オーナーのナイジェルと娘のアニカ、そして笑美と僕。
たった4人の人間に対し、ここでは数え切れないほどの様々な鳥や動物、
そして昆虫と、生い茂る緑。
圧倒的な数の命が取り巻いている。
そうした野生の生き物の存在が、
黙っていても、視覚、聴覚、嗅覚、手触り、温度から感じられる。
まるで水に潜った時のように、
身体と心、全体を覆い尽くすのだ。
人間は、その持つ理性と知性によって、
動物との間には差異を持っている。
しかし、一歩自然の中に入り、野生のルールに従ってみると、
それにどれだけの意味があるのだろうか?と気がつく。
ここでは、共存するしか道がないのだ。
そうして、人工的になった自分の意識を、
再び野生に戻すことが、今回ここへ訪れた目的。
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